ウィザーズのお話

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主にワシントンウィザーズについて話すブログ

WAS2019-2020総評

【アイザイアトーマス先発時代】
 BOS時代でCFまで導いたエースガードだったアイザイアトーマスは、カイリーアービングとのトレードでCLEに放出された。股関節の怪我によってBOS時代のようなスタッツを出すことが出来ず、その後DENへとまた放出された。
 今季FAだったアイザイアは、WASとの単年契約を結んだことで、ウォール不在の得点源として期待された。
 しかし、オフェンスではアジリティが全盛期より劣り、1on1での突破力がないため、オープンでの3Pしか武器がなかった。かつガードとしてのコントロールができるわけではないので、ドライブで切り込んで無理やりキックアウトするといったようなプレーが多かった。
 そしてBOS時代から懸念されていたディフェンスでのサイズのミスマッチがあり、ガードにエースが多いNBAでは頻繁に狙われていた。BOSのようにチームでのディフェンスルールがしっかりしていて、クラウダーやホーフォードのようにディフェンスで計算できる選手がWASにはいないため、チームのディフェンスレーティングは最下位だった。
 結論としては、いくら単年で安価だったとはいえ、もう少し慎重にガードを選ぶべきだったと言わざるを得ない結果だった。スミスを先発ガードに固定して、控えでFA選手という形のほうが良かったように思われる。
 その点、2way契約だったチオッザには期待していたが、インサイドの怪我が相次いだ時期があって、タイミング悪く解雇されてしまった。今ではBRKで活躍しているのでなおさらそう思ってしまう。

 

 

【トレードデッドライン後】
 今季のWASは、アイザイアトーマスとジョーダンマクレーをトレードに出し、シャバズネイピアとジェロームロビンソンを獲得した。
 どっちが先に決まっていたのかはわからないが、若手SGのロビンソンを獲得したことで、得点能力はあるものの28歳という若くはないマクレーを放出したのではないかと考えている。
 単年契約で得点能力のあり、ディフェンスもアイザイアよりはできるであろうネイピアを獲得したことで、多少はチームのディフェンスも改善されると思っていたが、本当に多少マシになった程度でディフェンスレスなことには変わりなかった。これはネイピアだけの問題ではないが、それでもネイピア加入後もディフェンスレーティングは最下位のままだった。
 イーストなら勝てるポテンシャルはあるものの、チーム戦術に乏しく、ビール頼みになってしまうことが多く見受けられた。ビールは平均得点ではリーグ2位になりチームの期待には応えたが、チームディフェンスが崩壊していたので、フラストレーションが溜まる一方だった。これはフロントの問題であり、HCの手腕も選手頼みということもあって、来季には何かしらテコ入れがあることを期待している。

 

 

【バブル】
 シーズン再開するにあたって、ビールとベルタンスが不参加を表明した。チーム得点の上位2人が欠場となったことで、八村はルーキーにして1stオプションの役割を求められた。
 PO進出には絶対勝っておきたい最初の2戦であるPHXとBRK両方に負けたことで、チームは若手の育成という観点で試合に臨んでいたように見えた。そこで台頭してきたのはトロイブラウンとトーマスブライアント、そしてジェロームロビンソンだ。

 HCはトロイにPGの役割を担わせ、ボールコントロールをさせ、ブライアントはP&Pを主体にトップから3Pを積極的に打っていた。ロビンソンは今までのスタイルとは異なり、ビールのようなプレイをしていたように感じる。成功率はあまり高くはなかったが、来季に向けて成長を感じさせるプレーだった。
 しかし、トロイはPGの役割をしたものの、器用貧乏のイメージが残り、来季はウォールとスミスがいるため、その役割を発揮する機会はないのではないかと思った。ただ、リバウンド能力は高いので、インサイドが弱いWASには必要不可欠な存在となりつつある。

 ブライアントはウォールやビールのようにP&Rでパスをしてもらえる選手がいなかったので、ポップアウトして3Pを打つくらいしか役割がなかった。時々ショットクロックが近づいてミドルショットを無理やり打つような場面も見られたので、ポストムーブをできるようになれば活躍の場が広がるのではと思う。
 バブルでは平均得点がかなり伸びたが、これはあくまで他に得点できる選手がいなかっただけであって、特段なにか成長が見られたかと言われたら疑問符がついてしまう印象だった。

 ロビンソンは途中まで控えからの出場だったが、3Pのアテンプトをかなり増やし、確率こそそこまで高くはないものの、シュートセレクションとしては良いものが多かったので、来季は成功率に期待したい。3Pだけでなく、ドライブで得点する場面も見られ、得点への選択肢の多さも出てきたように感じる。

 八村に関しては、最初のPHX戦こそ良かったものの、続くBRK戦やIND戦では存在感をかなり無くした印象だった。その後の試合では少しずつ得点を重ねるようになってきたが、それは存在感をなくしたことでマークが緩くなったからだと思われる。現にMIL戦ではセンターにマークを任され、3Pライン上にいるときはノーマークだった。
 ルーキーながらに最初は1stオプションを任されたが、スキル不足や視野の狭さもあって、少しマークがきつくなると積極性をなくしてしまっていた。途中からドライブからのアシストをしてアシスト数を伸ばしたこともあるが、ボール保持時間が長いため、ボールを持った瞬間の判断を早くする力を今後伸ばしてもらいたい。来季はウォールとビールがいて、両者ともにボール保持時間が長いがその分得点やアシストのリターンがあるため、八村はその分二人へのボール保持時間をシェアしなければならない。去年のワールドカップで、アメリカ代表のHCであるポポビッチは、選手たちにボールを持ってから0.5秒で次の行動を決めさせるトレーニングを課していたという話がある。このトレーニングは今の八村に最適だと思うので、オフにはハンドリングやシュートだけでなく、こういったトレーニングをチームは推進してほしい。

 

 今季の課題として、3Pでのオフェンスをあまり用いないWASなのに、ディフェンスで3Pへのケアが足りないという矛盾がある。ビールやベルタンスがいるときの3Pアテンプト数がリーグ18位の32.6本に対し、被3Pアテンプト数がリーグ22位の33.1本で被3P成功率がリーグワースト4位の37.6%だ。被3Pアテンプト数は高くはないものの、高確率で決められていることがわかる。試合を観ていると、ディフェンスでのローテーションミスでオープン3Pを打たれているケースが多い。しかも被2P%もリーグワースト4位なため、中から外からと単に打ち分けられているだけであって、ディフェンスにしっかりとしたルールが存在しないことがわかってしまう。
 バブルでも簡単なP&Pからフリーの3Pを許してしまっている場面を多く見た。インサイドが追いかけすぎているのか、近くのディフェンダーがヘルプに来てないのか原因はわからないが、ディフェンスコーチは違う人に替えるべきだろう。
また、バブルではトロイをPGで起用していたが、来季での構想がイマイチ想像できない。ウォールは戻ってくるし、ビールもボールコントロールできるようになった今、トロイがコントロールする必要性を感じないからだ。トロイをトレードで放出するならまだわかるが、これはドラフトでどの順位で誰を取ることができるのかで変わるのだろうか。

 

 8/21にドラフトの抽選があるが、9-10位が濃厚という確率が出ている。リバウンドに強いインサイドが求められるが、ドラフトでセンターを取ることは考えにくい。
 筆者は、その順位で選べるうちの一番良い選手をドラフトし、チームの若手の誰かと抱き合わせてトレードすると予想する。今でも八村を筆頭にロビンソンなど良い若手がいるため、これ以上若手を入れるのはウォール時代での優勝を逃すからだ。それならトレードやFAで戦力を整え、来季のPO進出およびCF進出を目指す方が良いと思われる。

 

 来季はフロントを入れ替え、戦術に富んだHCを採用し、インサイドの補強を完成させ、優勝は難しいと思うがCFまで行ってほしい。